歯周病治療
歯周病とは
歯周病とは
歯周病とは、歯垢(プラーク)中の細菌が引き起こす歯周組織の感染症です。プラークは、細菌が食べかすを栄養源として増殖することで形成されます。そしてプラークが歯や歯肉に蓄積すると、歯肉や歯根を支える歯槽骨などの歯周組織に炎症が生じてしまうのです。特に歯垢が唾液などの成分と結びついて、歯石になると、歯周病は一気に加速します。重症化すると、最終的には歯を支える骨が溶けて歯がぐらついてしまい、抜歯を余儀なくされる恐れがあります。
こんな方は歯周病が進行しやすいので注意
歯周病は生活習慣病のひとつ考えられています。歯周病予防のためには、口腔内ケアとともに、次の生活習慣に注意が必要です。
喫煙する
タバコの煙に含まれる有害物質が、口の中の粘膜から吸収されることにより歯周病のリスクを高めます。
間食が多い
歯周病菌の栄養分である糖分が長時間口の中にあることで、細菌が増殖しやすい環境を作ってしまいます。
よく噛まずに食べる
細菌を洗い流す効果がある唾液。よく噛まないとその唾液が十分に分泌されないので、細菌が増殖しやすくなります。
ストレスを溜めている
ストレスや疲労を溜めることにより免疫力が低下し、歯周病を含むあらゆる感染症にかかりやすくなります。
歯を磨かない・磨けてない
当然、歯に汚れ(細菌)が多く残っていれば歯周病が進みやすくなります。
歯周病が身体に与える影響
歯周病は、実はお口の中だけの病気ではありません。次のような全身疾患とも深いつながりがあるといわれています。
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01
心臓病
歯周病菌が血管内に入り込むと、血管壁に付着して炎症を引き起こします。炎症が繰り返されると血栓ができやすくなり、動脈硬化も進行します。結果的に、心筋梗塞や狭心症などの心臓病を招く危険性が高まってしまうのです。
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02
肺炎
歯周病菌を含んだ唾液や痰が気管から肺に入り込むと、肺炎を引き起こすことがあります。特に高齢者や免疫力の低下した人では、重篤な肺炎につながるリスクが高くなります。
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03
糖尿病
歯周病は血糖コントロールを困難にし、糖尿病の発症リスクを高めます。逆に、糖尿病があると歯周病が悪化しやすくなります。治療を行わないと負のスパイラル状態となり、互いの症状を悪化させ合うのです。
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04
早産
妊娠中の女性が歯周病にかかると、早産や低体重児出産のリスクが高まることが報告されています。これは歯周病菌が子宮内に入り込み、子宮収縮を促す物質を放出するためだと考えられています。
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05
認知症
アルツハイマー型認知症の発症には、脳内のアミロイドβタンパク質の蓄積が関与していると言われています。最近の研究で、歯周病菌がこのアミロイドβの生成を促進することが明らかになりつつあります。
歯周病の進行度
- Flow01
歯肉炎
歯ぐきに軽い炎症が起き始め、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が少し深くなります。ブラッシング時に出血することもありますが、痛みはまだありません。自覚がほとんどない場合が多いです。
- Flow02
軽度歯周炎
歯ぐきに軽度の炎症が生じており、歯磨きの際には歯ぐきから出血することもあります。歯と歯ぐきの間に歯周ポケットが形成され、歯垢や歯石が付着しやすくなります。
- Flow03
中等度歯周炎
歯周ポケットが深くなり、炎症が進行して歯を支える顎の骨にまで達した状態。歯がグラつき始め、歯ぐきから出血、歯が浮く感覚や口臭も現れます。大体の方はこの時期「おや?歯ぐきが少し…。」と感じます。
- Flow04
重度歯周炎
歯を支える顎の骨の半分以上が溶けた状態。歯ぐきが下がって歯がグラつき、膿が出て、痛みや口臭がきつくなります。さらに悪化すると、歯が抜け落ちることがあります。
歯周病は悪化すればするほどお口へのダメージが増し、治療も複雑になります。「歯ぐきが赤く腫れている」「歯ぐきから血が出る」など、少しでも気になることがありましたら、早めにご来院ください。重度歯周炎まで進行している方は、わかっていても歯科治療に躊躇される方が多いです。
より良い口腔状態を得るために頑張りましょう。
当院の歯周病治療
ブラッシング指導
毎日のブラッシングは、歯周病の治療・予防に欠かせません。一人ひとりに適したブラッシング方法を指導いたしますので、しっかり身につけましょう。
スケーリング・
ルートプレーニング
スケーリングは「スケーラー」という器具を使い、毎日のブラッシングではなかなか落とせないプラークや歯石を取り除きます。
ルートプレーニングはさらに進行した歯周病の際に、「キュレット」という器具を使い、スケーリングでも除去しきれない歯周ポケットの深い部分に付着するプラークや歯石を取り除いた後、その表面をなめらかにします。
歯周外科治療
フラップ手術
深いところの歯石を良く見えるようにするため局所麻酔後に歯肉を切開。そして歯周ポケットの奥深くに付着しているプラークや歯石を取り除きます。同時に感染した組織も除去し、歯肉を縫合します。
歯肉切除術
歯周病の進行が著しい、もしくは歯周基本治療を行っても症状の改善が難しい場合は、歯肉切除術などの外科的アプローチが有効です。治療の目的は腫れた歯肉を切除した後、歯垢や歯石を丁寧に取り除き、プラークコントロールがしやすい環境に改善することです。ただし、術後は歯ぐきが下がるなどのデメリットも見られるため、患者さんと相談し慎重に治療の可否を判断します。
歯周病の進行を
抑えるために
日々の歯垢(プラーク)コントロールが歯周病の改善・予防には欠かせません。ご自宅での徹底した歯磨き、定期的な歯科検診と専門的な歯石除去(PMTC)を心がけることで、歯周病の発症や進行を防ぐ効果が期待できます。
できるだけ歯の寿命を延ばすためにも、予防を怠らず、初期の段階から適切な対策を取るようにしましょう。